2014年2月 8日 (土)

デジタル通信-PSK31およびJT65Aの立ち上げと運用の実際

    小電力でもDX通信が楽しめるデジタル通信を始めよう!!

            
Ja0asi         
          JA0ASI / 7K3OWM  S.Yamashita

                          Feb.2014 (Sep.2016改訂) 
         


                 その1 <PSK31のススメ>

1.PSK31とは

 考案者であるG3PLXPeter Martinez)が1997年に80m帯で距離50Kmにて伝送実験を開始し、翌1998年に方式を公開した最新の文字通信モードです。

 PSK-31はパソコンのキー・ボードを入力装置とし、モニター画面を出力装置とした無線による文字通信です。
これまでのRTTYを省電力・狭帯域にて実現しており、全世界で普及して来ています。世界各局の設備の平均像はバーチカル・アンテナと30W出力です。

 簡単な設備でCWと同等の飛びとインターネット上のリアルタイム・チャットと同様の操作感を味わえる非常に魅力的なモードです。

 PSK31PSKは位相シフト・キーイングであり、31は帯域幅の31.25Hzに由来しています。簡単なインターフェイス・ボックスとフリー・ソフトの追加、および電波形式F1の免許取得で誰 でも気軽に運用できます。

 PSK
2相のBPSK(Binary Phase-Shift Keying)4相のQPSK (Quadrature Phase-Shift Keying)がアマ無線では実用化されていますが、実際は扱いやすい BPSKがほとんどです。

 なお、米国、欧州では、BPSK31、BPSK63、BPSK125、およびこれらの混在モード、さらにQPSK63のデジタルモードコンテストがあります。当然、QPSK63が最も早い文字通信ができます。

 本稿では以下、BPSKを省略してPSK称することにします。

 

2.主な運用周波数帯と送信電力

 現在アマ無線で利用されているPSK31の主な運用周波数は、7.029MHz10.141MHz14.070MHz18.10021.070MHz28.120付近となっています。
このあたりの周波数で、SSBの「ピロピロピロ」という受信音が聞こえたら、それがPSK-31の音です。

 当局は718MHzはダイポールなので、通常の送信電力は30W程度、2128MHzは4ELEビームアンテナですので、1020Wに抑えています。大電力、過変調は周りの局に迷惑をかけてしまいます。GPアンテナでも50W以下の電力で十分です。

 

3.パソコン用フリーソフト

 各種あるようですが、日本の局が最も利用しているのが、MMVARIです。このソフトを使えばPSK31PSK63RTTY等が可能で、自作の英文、和文マクロをかなりの種類利用できます。
 インターネットでダウンロードできます。PSK31はチャットで訂正バックキーが使えるのは非常に便利です。なお、和文もOKですが、かなりスローになります。
キー打ちが遅い方はかえって都合が良いかもしれませんが・・・・。なお、RTTYだけならMMTTYがおすすめです。
 MMVARIについては先輩OMの方々の解説がインターネットに数多く掲載されていますので、参考にしてください。

 

http://ja1scw.jp/shop/Files/MMVARIsetting.pdf#search=%27MMVARI%27
http://nksg.net/usbif4cw/mmtty.html
http://nksg.net/usbif4cw/mmtty.html


                <MMVARIのパソコン画面>
         
          Mmvari600                            

 

4.パソコンとの接続

インターフェイスとシリアルポート/USB変換アダプター(パソコンにシリアルポートが無い場合)が必要です。インターフェイスユニットは自作もできますが、当局はテクニカルシャック製のDIF-3plusを使っています。

                   <DIF-3plus>

                              Dif3plus

 

 リグとパソコンはインターフェイスを通してABPSKモードでサウンド信号をやりとりします。PCのサウンド出力と無線機の音声入力端子(MIC,LINE,MODなど)を接続して、PSK31の信号を音声として無線機に送り出し送信します。

 信号を音声として無線機に送り込みますので、マイクロフォンを繋ぐことができる無線機の殆どで使用することができます。


5.マクロの書き方例

PSK31のDXとの交信は主に英文のチャットですので、英語が苦手の方は敬遠したくなると思います。だが、しかしご安心ください。あらかじめ作成したマクロ文を何通りか、パソコンのファンクションキーに登録して使い分ければ、ほとんどの交信が可能です。

 PSK31での交信の参考として、私が作成したMMVARIマクロ文の一部を以下にご紹介します。

<%ClearTXW><%TX>
CQ CQ CQ de <%MyCall> <%MyCall>
CQ CQ CQ de <%MyCall> <%MyCall> pse K
<%RX>

<%TX>
=== <%HisCall> <%HisCall> de <%MyCall> ===
Tnx for your call Nice to meet you on waterfall
Your RST(Q) is <%HisRST>-<%HisRST> coming into nr Tokyo
NAME: Yama Yama Yama
QTH: Narita Narita - 50km east of Tokyo
EPC#1936 JCC#1211 LOC: QM05DT More info on QRZ.com
BTU Hw copy? .... <%HisCall> <%HisCall> de <%MyCall> kn
<%RX>

<%TX>
=== <%HisCall> de <%MyCall>(Yama) ===
OK My friend <%HisName> Tnx Rept & Info All copy
My Station is --
Radio: FT-950 Pwr: 20W
Antenna: 4eleHB9CV(21,28MHz) DIPOLE(Other MHz)
Software: MMVARI
Computer: Win7,64bit,Corei5
BTU Hw Copy?
<%HisCall> de <%MyCall> kn
<%RX>

<%TX>
=== <%HisCall> de <%MyCall>(Yama) ===
Fine Copy My friend <%HisName>
QSL: eQSL(AG), LoTW, BURO, All OK
Tnx nice BPSK31 QSO
All the best to you & "SAYONARA"
<%HisCall> <%HisName> de <%MyCall> TU SK SK....
<%RX>

6.無線局の変更申請(届出)

デジタル通信を行うには、免許の一括記載コードの範疇にあったとしても、無線設備の変更申請(届出) が必要です。
 
 内容は、デジタル通信で使用する送信機の発射可能な電波の型式(送信機仕様以外)の追加、系統図、付属 装置の諸元表等です。送信機によっては単独でPSK、FSKが可能ですが、MMVARIなどのフリーソフト でABPSK、AQPSK、AFSKなどのパソコンデジタル変調を行う場合は変調装置の追加申請(届出)が 必要です。

 また、新規局免許申請の場合も系統図、付属装置の諸元が必要です。
 
但し、無線局免許状そのものは一括記載コードですので、追加した電波の型式が一括記載コードで許容された範囲であれば何も変更はありません。 申請許可だけとなります。

 届出書類の詳細については、次の<JT65Aのススメ>の最終章に解説してありますので、参考にしてください。

 以上でPSK31の解説は終了いたしますが、本稿を参考に是非PSK31に挑戦して、デジタル通信の仲間入りを果たしてください。



               その2 <JT65Aのススメ>

 今回は前回のPSK31に続いて、JT65Aについて、実際の当局の運用状況を中心に、その特徴と使用しているソフトウェアについてご紹介させていただきます。

タイミング良く “JARL NEWS/2013年春号「デジタルモードを始めよう」というタイトルでJT65Aの記事が載っていますので、そちらも一読してみてください。

1. JT65JT65A)の概要

 JT65は流星痕反射通信用に開発されたデジタル通信技術を、ノーベル物理学賞受賞のK1JTDr.Joe TaylorEME(月面反射通信)などの微弱信号通信を目的として改良・開発した狭帯域通信モードWSJTの1つです。後にHF帯にまで応用範囲が拡大され、このHF50MHzモードをJT65Aと呼びます。ちなみに、144MHz432MHzEMEでのモードがJT65B1296MHzEMEモードがJT65Cとなります。
 

 JT65
プロトコルは65-tone(65個のトーン)を使い、1270.5HzのサブキャリアをAFSK変調します。これを65FSKと言います。この変調方式はon-offキーイングよりも非常に効率が良く、さらにPSKよりも周波数変動に対する許容度がはるかに高い特長があります。
 

 JT65
用のソフトウェアは JT65モードの開発者である K1JTが開発したWSJTと、後発の W6CQZMr.J.C.Large 氏が開発したJT65-HFの2つが主に使われているようです。
 

 JT65は、EME,HF,VHFなど目的に応じた信号に区分されていて、WSJTではそれらの目的に応じた信号に対応しておりますが、操作はやや難しくな ります。
 
 一方のJT65-HFは、HF帯通信用のJT65Aだけに対応し操作も比較的簡単に行えるようになっています。これからHF帯で JT65にデビューされる方は、当局のように、まずJT65-HFでスタートするのが賢明です。したがって以下、JT65JT65Aの範囲の話に限り、通信用ソフトウェアはJT65-HFについての説明になります。


2.JT65-HFのダウンロード
 

 JT65-HF
はフリーソフトです。ダウンロードページは 種々のアマ無線用ソフトウェアのページにリンクがあります。今日時点での最新バージョンは、「JT65-HF.Ver.1.0.9」となり、ダウンロードファイルは“setup-JT65-HF-1093.exe”です。日付: 2011-11-24、サイズは7.1MBです。
 
 リグとの接続には、前回ご紹介したようなインターフェイスが必要です。
テクニカルシャック製のDIF-3plus使用ではWindowsXPにも、Windows7にも対応していますが、Windows10/64bitではRS232C-USB変換ケーブルはドライバー
付きの国内メーカー品でないとうまくゆかないかもしれません。

 JT65A
モードの受信は、RTTYPSK31のように無線機のダイヤルを合わせただけではなかなか受信できません。その主な原因は、信号受信とデコードを同時に行わない仕組みになっているためです。つまり、1分毎に送受信を繰り返し、受信結果は受信完了後にデコードされます。RTTYPSK31では、受信と同時にデコードされるので、信号を見つければすぐに受信内容が確認できます。しかし、JT65Aでは信号を受信してもリアルタイムにデコードされないので、はじめて信号を受信した方はとまどうかもしれません。以下、ダウンロードページの一例です。

http://sourceforge.jp/projects/sfnet_jt65-hf/releases/


3.PC内時計合わせ用ソフトのダウンロード

 もうひとつ受信の際の重要な条件は、PC内の時計を正確にしておくことです。JT65Aの交信では、毎分0秒から送信/受信の動作に入ります。そのため交信する双方の局のPC内時計を正確に合わせておく必要があります。PCのインターネット時刻自動調整では間に合いません。時計校正ソフトでPC内時計を日本標準時に正確に合わせてください。

 なお設定誤差はほぼ1秒以内であれば交信できますが、相手局の設定誤差を考えると±0.5 秒以内にするのが理想的のようです。当局は時刻合わせのソフト「桜時計」をインストールして使っています。JT65-HFを起動する前に、かならず「桜時計」を起動させます。他にも種々の時刻合わせフリーソフトがありますので、使い易いものを選んでください。

 たまに、2秒以上時計がずれている信号の強い局に呼ばれることがあり、その際はその局がデコードできないばかりか、その局の信号に被された他の局もデコードできなくなり、何回CQ出してもその局に呼ばれている間はデコード不能に陥り、大変困ることがあります。

PC内時計を合わせたら、あまり焦らず50秒間の信号を確実に受信してチョット待つ! JT65Aの受信には忍耐が必要です。但し、次に送信しようと思ったら、今度は約10秒しか時間の余裕はありません。

http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/personal/se050672.html

 

4.JT65A運用周波数

JT65Aの国際的な中心運用周波数は以下のようになります。モードはUSBです。

1.8MHz帯:1838kHz3.5MHz帯:3576kHz7MHz帯:7076kHz10MHz帯:10139kHz14MHz帯:14076kHz18MHz帯:18102kHz,18106kHz21MHz帯:21076kHz24MHz帯:24092kHz28MHz帯:28076kHz50MHz帯:50276kHz

但し、2015年1月より新バンドプランが施行され、以来、国内でのJT65の運用周波数が追加となりました。国際的な慣習と違っているのは下記のような周波数となります。

 

1.9MHz帯・・・1.909MHz
3.5MHz帯・・・3.531MHz (3.576はJAで送信するとオフバンドです)
7MHz帯・・・・ 7.041MHz (主にJA国内同士だが、希にロシアなど近隣国が出てくることもあります)

7MHz帯の7.076MHz は国際的な標準の周波数で、海外局は同一国内でもQSOできるが、日本の場合は、バンドプランで「海外局との交信に限る」と限定されています。

最近VHFUHF帯についてはJT65A,JT65B,JT65Cで以下の周波数が使われているようです。144MHz帯:144.460MHz430MHz帯:430.510MHz1200MHz帯:1296.600MHz

 

 

5.JT65A運用の実際

CQを出した時の一例>

例:相手CALLW7YES、周波数:21076kHz、モード:USB、送信電力:10W 
画面の空いている周波数(隣接局より100Hz以上離す)にカーソルをセットするか、周波数欄に入力。時間区分は偶数分(TX Even)を選択。下記の実際の送受信は約50秒間。UTC:02:00:00からCQ開始とする。
“黒字”がこちらからの送信で
“赤字”が相手局からの返信。

CQ 7K3OWM QM05(自局のGL)
Call CQ欄チェック):0200(UTC)-0201(02:00:00になると自動送信開始)

7K3OWM
 K6GB  DM14(相手局のGL)
(画面の赤帯で表示):0201-020202:01:50になるとデコードされる)

K6GB 7K3OWM R-10(相手局の受信感度db
(赤帯を10秒以内にクリック):0202-0203(02:02:00になると自動送信開始)

7K3OWM K6GB R-12(自局の受信感度db
(赤帯で表示):0203-020402:03:50になるとデコードされる)

K6GB
 7K3OWM RRR(レポート了解)
(赤帯またはRRR欄をクリック):0204-020502:04:00になると自動送信開始)

7K3OWM
 K6GB 73(さよなら)
(画面の赤帯で表示):0205-020602:05:50になるとデコードされる)

K6GB 7K3OWM 73(さよなら)
(赤帯または73欄をクリック)または(10W 4EL GL 73)などをTXText欄書込み後クリック0206-020702:06:00になると自動送信開始)

相手CallRSTが交換できればQSO成立。

相手のコールサインや信号強度dBはデコーダエリアの赤帯をクリックすれば、自動的に読取入力。

                    <JT65-HFの運用画面>
          Jt65hf600


6.Hamlogへのログ変換ソフト、JT_Linkerのダウンロード

 以上の基本的な送受信ができるようになりましたら、便利な周辺ソフトをダウンロードしてみましょう。JT65-HFでは交信終了後、ログを自動的にADIFファイルに落としてくれる機能を持っていますが、Hamlogへの即時送信・書き込みをするには、PSK31などのMMVARIと違い、別途両者を接続してくれるソフト、JT_Linkerが必要です。

                 <JT_Linkerの起動画面> 
           Jtlinker

 これも、アマ無線用フリーソフトのリンクからダウンロードできます。
 

PSK31MMVARIでは、Hamlogへの自動書き込み機能がついていますが、JT65-HFは海外のソフトなので仕方がありませんね。最新のバージョンは、Ver2013.03.22 で、Windows-7にも対応しています。大変便利なツールです。このソフトを使用するにあたって、当局の経験で気を付けなければならないことは、コントロールパネル・プログラムの「Windows機能の有効化 NET Framework3.5.1」のスイッチをONにしておくことです。

http://ja2grc.dip.jp/~ja2grc/my_software/my_software.htm#JT_Linker

 

7.デコードされた局のデータが即表示されるJT-Alertのインストール 

 デコードされた局がJT65Aの新局なのか、交信済みの局なのか、またどのエンティティーなのか等すばやく知りたいところです。なぜなら、JT65-HFではデコードされてから10秒以内に相手をコールしなければならないからです。JT_Linkerでハムログに転記して確認する方法では時間が間に合いません。

 

そこで、JT-Alertが大いに役立ちます。このソフトはデコードされた複数の局の過去の交信記録をリアルタイムに表示します。交信済みの局がデコードされますと最上段にコールサイン-B4と表記されます。もう一つはデコード画面のコールサインをクリックしても交信歴が2段目に表示されます。
 データーベースで使用する過去ログファイルはADIF形式で、JT65-HFが作成する機能を持っています。したがって、JT65-HFをダウンロードしたら、同時にこのソフトも使えるようにした方が便利です。

但し、既にJT-Alertを使う前からJT65Aのログが存在する場合は、HamlogのデータをADIFデータにしておく必要があります。これはHamlogの検索(S)の中の「複合条件検索と印刷」でADIF出力することができます。その後の交信データ追加は、出力したADIFJT65-HFのログデータと同じ場所に置いておけば、自動的に追加されて行きます。

              <JT65-HFとJT-Alertの同時起動画面>
         Jtalert600


 最新バージョンは、2015年3月現在Ver.2.6.0でファイルは“HamApps_JT-Alert_2.6.0_Setup.exe (size: 3.1 MB)”となります。他のソフトと同様、アマ無線用フリーソフトのリンクからダウンロードできます。

 その他、姉妹フリーソフトで、JT-Macros(Ver.2.0.2)があります。これはJT65-HFのマクロ文を自由に作成できるソフトで、使ってみる価値はあります。

JT-AlertおよびJT-Macrosのダウ ンロードはこちらからです。

http://hamapps.com/ 

設定方法詳細

http://30.pro.tok2.com/~jh3eca/JT-Alert_SetUP.html

  

8.RB( Reverse Beacon )NetworkPSKR( PSK Reporter )

 JT65-HFの画面右下の、Enable RBEnable PSKRにチェックを入れると、これらのネットワークに自局の通信データがアップされます。

 詳細は、“JT65-HFの解説書”(次項の参考ウェブ(1)JT65-HFをダウンロードしたpdfファイル)に記述してあります。世界中のRBNetworkまたはPSKRに参加アクセスしている局の受信データや位置がリアリタイムに表形式またはマップ形式で表示されていて、電波伝搬の状態や自局を何局がどこでどの程度の感度で受信しているかが一目で分かります。ためしに以下のウェブにアクセスしてみてください。

              <PSKRの画面例>*画像をクリックしてください

             Pskr

PBのウェブ画面 http://jt65.w6cqz.org/receptions.php

PSKRのウェブ画面 http://pskreporter.info/pskmap.html


9.参考になるホームページ

 今回の解説に関係する、その他代表的なホームページを以下に列挙します。 

 http://okdeq.lolipop.jp/jt65

 http://iz4czl.ucoz.com/jt65-hf-setup.pdf#search=%27JT65+AFSK%27

 http://30.pro.tok2.com/~jh3eca/JT65-HF.html

http://jg1pdg.blog.fc2.com/blog-entry-10.html

 http://homepage2.nifty.com/jn4vac/digital/digital.htm

 
 以上、JT65AJT65-HFおよび周辺ソフトについて、運用開始までの手順や実際の運用方法を当局の経験を中心にお話をさせていただきました。JT65Aに出ているほとんどのDX局は、出力10W以下で運用していますが、1W以下という局とも何回か交信しました。また、アンテナもGPDPの局も多く、手軽にDXがゲットできるモードといえます。-25dB以下の微弱電波で、スピーカーから音が聞こえなくても、画面に受信信号のドット(ウォーターフォール)が見えなくてもデコードできる場合があります。
 また、交信は1分おきでゆっくりしていて、且つ、ほとんどマウスのクリックだけで済みますので、一杯やりながらでも気軽にQSOできるのも魅力です。もちろん、JT65ADXCCのデジタルモードのカテゴリーに入っています。皆さん、是非このモードにチャレンジしてみてください。

PSK31でも解説いたしましたが、このモードもPSKと同様、免許の一括記載コード範疇であっても、電波型式の追加(F1D)、付属装置(コンピュータ変調装置)の追加が必要です。(1)設備の増設、新規取替がなければ、総通に「届出」、(2)設備の増設、新規取替があれば、TSSに申請(TSS経由で総通)になります。但し、増設、取替の総通への申請後、別途付属装置を届出するのであれば、TSSを通さなくても構いません。

 

<デジタル通信・無線局の変更申請(届出)の実例>

当局は移動局JA0ASI(信越総合通信局)も固定局7K3OWM(関東総合通信局)も変更申請(届出)して許可されています。次の資料はJA0ASIの当局の変更届書の工事設計書と附属装置の諸元表です。上記ウェブを参考にして、一部追加、手直ししてあります。各自の免許の内容、送信機の諸元を確認して作成してみてください。
 なお、当局が変更届出に際して参考にしたウェブを以下に示します。

http://homepage2.nifty.com/jn4vac/digital/digital.htm

http://jh2cmh.idou.net/sstv/henkou.htm

 

                      <工事設計書>*画像をクリックしてください 
                                     20_2
            


                     <附属装置の諸元表>*画像をクリックしてください          

                                      1600
                                      2600
                                      3600
                                     4600            



                 <系統図(第一送信機/HFの場合)>
*画像をクリックしてください
 


                    1600_2



                    あとがき

 冒頭の写真は、QRZ.COMにも掲載している私のシャックです。
上段は昔のトリオ9R59受信機と自作の807sの10W送信機、下段は430MHz専用のIC-375DとHF用のFT-850、FT-1011、右側は使用中のFT-950となります。その他移動局用のTS-690Sや最近購入しましたFT-991Mなどがあります。
後ろの小画面はJT65-HFの運用画面です。

 この機会に、QRPもしくはそれに近い小電力でDX交信の可能性が大きく広がるデジタル通信・PSK31やJT65Aの魅力をハム仲間の皆さんに伝えてください。

*なお、本稿はTDKアマチュア無線倶楽部(JM1ZOR)のホームページに寄稿した内容を改訂したものです。

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